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空き家からはじまる新しいまちづくり

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2018年9月22日

千住でうごく#02 空き家を耕す

場所:柳原稲荷神社会館

 

空き家利活用で一つ目のハードルは、
利活用に対する大家さんの理解です。
大家さんの考えを理解せずに空き家利活用は実現できません!!

そこで千住でうごく#02では、谷中で複数の物件を所有する大家さんをお呼びして、大家さんの視点から空き家利活用への考えや事業の進め方などをレクチャーして頂きました◎
また連携イベントとして、千住まち巡り及びDIY体験イベントを実施しました。

【ゲスト】

菅完治

1949年 東京生まれ 1971年青山学院大学経済学部卒業 同年4月㈱読売旅行入社 銀座・新宿・錦糸町・築地・柏に勤務 1999年3月同社を早期退職制度により退社、専業大家となる。 2011年より日本最古の大家の会=日本不動産経営協会(JRMA)の代表理事を4年間務める 賃貸不動産経営管理士、土地活用プランナー、ホームステージャー1級

すっかり夏がすぎ去り、心地よい秋の風が吹く9月22日。柳原稲荷神社会館にて、大家という立場から数々のユニークな物件をプロデュースしている菅完治さんのトークイベントを行いました。当日は子連れのファミリーや、大学生、千住住民など、関係者合わせて総勢40名超の方々にお越しいただき、会場は超満員。

「今でこそ、ちょっと変わった大家として紹介されるようになりましたが、ほんの10年前までは、ただ空いた物件を貸し出すだけの普通の大家だったんですよ。」

万雷の拍手に迎えられて登場した菅さんは、少し恥ずかしげにこう切り出しました。旅行会社を退職後、”普通のオーナー”として賃貸業を営んでいた菅さんを変えるきっかけとなったのは、福岡にある冷泉荘という物件との出会いだったと言います。

「築60年を超えた昭和のレトロビルに、尖ったクリエイティブな人たちが手がける面白そうなテナントが沢山入っていたんです。聞けば、どうせ取り壊すからと思って、5年限定・原状回復不要という条件で募集したら変な人ばっかり集まっちゃったと(笑)。」

冷泉荘に刺激を受けた菅さんは、ビルの一階に0.5坪のお店が集った小商いスペース「バザール千駄木」をオープン。以来、谷根千エリアを中心に、「HATSUNE-AN」、「Things.YANAKA」など、その地域らしさとクリエイティビティをミックスさせたユニークな物件を次々とプロデュースしてきました。

「いままではデベロッパーや行政が街づくりを主導してきましたが、これからは大家も街づくりの主役になるべきだと思います。」

これまでの活動を通じて芽生えた大家としての自覚について、菅さんは力強く会場に語りかけました。菅さんによると、大家には三つのタイプがいるそう。

「一つ目が相続した土地を税金対策として貸し出している大家。二つ目は株と同じ感覚で投資先として不動産を所有する大家。三つ目が建物や地域を愛して賃貸業を事業として考えている大家。私は自分のことを事業家大家だと思っています。」

“事業家大家”は、自分の持つ物件を、個人のものではなくその地域全体の資産として考えるべきだと言います。実際に、最近手がけたThings.YANAKAの物件は、多くの申し込みがあったものの「いまいち人々が賑わうイメージが湧かなかった」ため、いい借り手が見つかるまで空き物件として保留していたのだそう。現在は、包丁屋、台湾茶のカフェ、古着屋が入居し、地域に根ざしながら、エリア外からも多くの人が訪れるスペースになっているようです。

「地域住民の方々が、実際に住んで良かったと思えるようなエリアにしたいんです。そんな町にはみんな住んでみたいと思いますよね。エリアを活性化させるという視点での活動を続けると、ひいてはエリアの相場が上がってくるので、大家にとってもメリットなんです。」

地域でのゴミ拾いや若いクリエイターと積極的に付き合うなど、どうしてそこまで?と思うほど情熱的に活動されている菅さんですが、それは決してボランティア的なものではなく、長期的なビジネス視点に基づくまさに”事業家”としての活動だったのです。

「この物件を。いや、本当は商品と呼びたいんですが、それをどう面白くしようかと考えるのが楽くて仕方ないんですよ。」と、屈託ない笑顔を浮かべながら語る菅さんに、すっかり魅了されてしまった一同。実はこの日、私たちが一番最近手がけた物件の大家さんも来てくださっていたのですが、「正直、代々受け継いだ土地をただただ貸していただけだったのですが、今日の菅さんのお話を聞いてもっと地域をどう良くするのかという視点を持たないとダメだなと気付かされました。」と仰っていました。また、私たちも、菅さんのように熱い想いを持った大家さんとプレイヤーの方々をうまく繋げることで、より千住の空き家を深く広く耕していけるに違いないと確信することができた貴重なトークイベントとなりました。

 

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